和牛育成

子牛から育てる酪農のノウハウを
和牛育成に活かして。

乳肉一貫経営という新たな挑戦がはじまっています。
それは、自分たちの手で乳牛の繁殖を行い、
子牛から育てる酪農にこだわり続けてきたからできること。
さらに、その先には、和牛のルーツのひとつ、
広島和牛の流通量を増やすという大きな夢も。
世羅つくし分場がその舞台となって取り組んでいきます。

繁殖(F1とET)

吉浦牧場では、2種類の肉牛の繁殖を行っています。ひとつは、ホルスタインのメス牛に和牛の精子を使って人工授精で生まれる交雑牛(F1)の繁殖。そして、広島にある世羅つくし分場で特に力を入れて取り組んでいるのが、和牛の受精卵移植(ET)による和牛繁殖です。お腹の空いているホルスタインのメス牛を使って、生乳と肉牛を一挙に生産するこの乳肉一貫経営スタイルは、事業の多角化に乗り出すにあたってリスクが少なく、コストを押さえられるという経営メリットがあります。

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哺育・出荷

早くから、牧場で子牛を生ませ育てながら増やす酪農を行ってきましたから、哺育のシステムは整備済み。生後の子牛は一頭ずつ人の手でミルクをやって育てますが、その後は、子牛が自分の力で飲む自動哺乳システムで育つので、健康面に最大限気を配った哺育を行うことができます。また、常時100頭以上いるホルスタインの子牛たちと一緒に育てることができるので、あらためて餌やりなどの手間ひまがかからず効率的。肥育素牛として9カ月たったら出荷となります。

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採卵用和牛の自家育成

世羅つくし分場の搾乳牛は460頭近くいて、牧場の広さや今の人員を考えると600頭までは増やせる計算なのですが、それ以上は難しい。だったら、新しく和牛の受精卵移植をやってみるのも面白いだろうと、獣医師免許を持つ分場長のもと、和牛を飼育するノウハウもないままスタートしたのが2010年のことです。受精卵移植はエラーの多さがつきものなのですが、2014年には40頭を出荷し、2015年には3倍の120頭の出荷を見込んでいます。新しいことへの挑戦が少しずつカタチになってきたので、次に和牛の採卵という目標が見えてきました。今はその実験段階にあります。

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肥育生産

「肉牛はアートだ!」と言われるように、肉牛を自家育成していくことは、酪農の自家育成とはまったく別世界の話。ですが、いつかは肉牛の肥育までやってみたい。そう思うようになったのは、広島にも和牛のルーツとなる牛がいたから。現在、広島和牛を復活させようという夢が、広島県内の牧場にも徐々に広がって一緒にやっていく仲間が増えています。ブランド化が目的ではなく、一次産業をもっと確かなものにするために、品種改良やオリジナルブレンドの餌にこだわってきた吉浦牧場だからこそできる、肥育生産を実現したいと考えています。

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